2025年4月9日、防衛省・統合幕僚監部は、長崎県・対馬の南西約50kmの海域で、中国海軍のルーヤンIII級(052D型)ミサイル駆逐艦「開封」(艦番号124)を確認し、海上自衛隊のミサイル艇「しらたか」が撮影した画像を公開しました。この画像は、なんと中国艦を真横から至近距離で捉えた貴重な1枚。両国の海軍艦艇が“にらみ合い”を展開する様子が鮮明に記録されています。
本記事では、公開された画像とともに、両艦艇の性能や戦力を徹底比較。中国海軍の存在感が増す中、海上自衛隊の対応力や今後の課題についても深掘りしていきます。
中国海軍の主力「ルーヤンIII級(052D型)駆逐艦」とは?
今回確認された「開封」は、2021年に就役したルーヤンIII級ミサイル駆逐艦の19番艦。中国語では「052D型駆逐艦」とも呼ばれ、中国海軍の最新鋭で最も多く配備されている主力艦です。
この艦は、イージス艦に相当する高性能なレーダーシステムを搭載し、垂直発射方式の長距離地対空ミサイル(HHQ-9)や対艦巡航ミサイル(YJ-18)などを備えています。全長約157メートル・排水量7500トン級という大型艦であり、遠距離からの対空・対艦・対潜戦闘に対応可能です。
ルーヤンIII級は、米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦にも似た設計を持ち、中国の“海洋強国”戦略の要と位置付けられています。中国はこの型を現在も量産中で、インド太平洋地域における影響力を拡大する上での中核的存在です。
海上自衛隊の「しらたか」が緊迫の監視行動
この中国艦に対応したのが、海上自衛隊のはやぶさ型ミサイル艇「しらたか」。全長わずか50メートルの小型艦ながら、ウォータージェット推進による最高速力44ノット(約81km/h)を誇る高速艇です。今回のように沿岸近くや狭水域において迅速に対応するのに最適な艦艇です。
主兵装は、76mm速射砲と90式艦対艦ミサイル。運用上は「奇襲・高速離脱」を前提とした戦術に優れていますが、中国の大型駆逐艦と直接戦闘すれば劣勢になるのは否めません。しかし、海上自衛隊の役割は戦闘よりもまずは警戒・監視・情報収集。今回のように敵艦を的確に捉える能力は、今後の防衛計画において極めて重要です。
【性能比較】海自「しらたか」 vs 中国「開封」
比較項目 | 海上自衛隊「しらたか」 | 中国海軍「開封(052D型)」 |
---|---|---|
艦種 | ミサイル艇(小型) | ミサイル駆逐艦(大型) |
就役 | 2004年 | 2021年 |
全長 | 約50m | 約157m |
速力 | 最大44ノット(81.4km/h) | 最大30ノット(55.5km/h) |
兵装 | 76mm砲、対艦ミサイル | 長距離SAM、YJ-18巡航ミサイル、130mm砲 |
排水量 | 約200トン | 約7500トン |
推進方式 | ウォータージェット | ガスタービン(CODAG) |
配備 | 第3ミサイル艇隊(佐世保) | 東海艦隊・南海艦隊など |
→ サイズ・兵装・火力では圧倒的に中国艦が優位。しかし、日本は即応力と監視技術の高さで対抗している構図です。
なぜ中国艦は対馬海峡を通過したのか?
今回のルート(対馬海峡→日本海)は、中国艦が日本周辺で行動範囲を拡大していることを示しています。対馬海峡は国際海峡であるため、航行自体は国際法上の「無害通航」に該当する可能性もありますが、軍艦の通過は明確なメッセージです。
中国の海洋進出は年々顕著になっており、特に東シナ海や南シナ海でのプレゼンス向上を目指しています。日本としては、こうした動きを常時監視し、有事の兆候を即座に察知する体制が必要です。
今後は「哨戒艦」が新たな担い手に
「しらたか」を含むはやぶさ型ミサイル艇は、今後「哨戒艦」と呼ばれる新艦種に順次交代予定です。哨戒艦はより大きく、持続的な警戒・監視行動が可能な設計で、無人機連携や多用途運用にも対応予定。離島防衛・沿岸警備の要として期待されています。
ただし、小型・高速なはやぶさ型の即応力や接近能力も貴重であり、今後のバランスの取れた艦隊運用が重要となるでしょう。
日本の防衛力と国民の注目が求められる時代へ
このような“にらみ合い”が頻発する現在、私たち日本国民も、日本周辺の安全保障環境が変化していることを認識する必要があります。今回の画像公開は、まさにその一端を物語っています。
自衛隊の対応は冷静かつ迅速であり、日々の監視活動が国の安全を支えていることを、改めて認識させられる出来事でした。
🚩まとめ:注目すべきポイント
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中国海軍の最新鋭駆逐艦が日本近海に現れる機会が増加
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海自ミサイル艇の即応力が抑止力として機能
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公開された画像は、国民が関心を持つべき“最前線の現実”
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両艦の性能比較から見える戦略の違い
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今後は哨戒艦による新たな防衛体制が構築予定
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